+ 特許公報の構成と読み方
更新日 : 2005-07-24
特許調査を行う場合、特許公報を読む必要があります。特許情報を技術情報として見る場合には【要約】、【課題】、【解決手段】、【作用・効果】、【実施例】が、特許情報を権利情報として見る場合には【請求項】が重要となります。ここでは特許公報がどのような構成になっているのか、またどのように読んでいけば良いのかについて説明しています。
+ 特許公報が発行されるまで
以下では日本の公開特許公報の構成について説明していきます。
特許公報のことを明細書と呼ぶ場合もあります。まず日本の公開特許公報が発行されるまでの流れを簡単に説明します。
まず発明したら、特許庁へ特許として出願する必要があります(特許出願)。この特許出願については特許法第36条に記載されています。
[特許法第三十六条]
特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 発明者の氏名及び住所又は居所
2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。
3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 発明の名称
二 図面の簡単な説明
三 発明の詳細な説明
4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。
二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知つているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。
5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。
6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。
二 特許を受けようとする発明が明確であること。
三 請求項ごとの記載が簡潔であること。
四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。
7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。
36条に書いてあることをまとめると、特許を受けたい場合は願書を提出する必要があり、その願書には明細書・特許請求の範囲(クレーム)・図面・要約書を添付する必要があります。
特許出願された書類(願書・明細書・クレーム・図面・要約書)は、特許法64条の出願公開に基づいて公開されます。
[特許法第六十四条]
特許庁長官は、特許出願の日から一年六月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。次条第一項に規定する出願公開の請求があつたときも、同様とする。
2 出願公開は、次に掲げる事項を特許公報に掲載することにより行う。ただし、第四号から第六号までに掲げる事項については、当該事項を特許公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認めるときは、この限りでない。
一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 特許出願の番号及び年月日
三 発明者の氏名及び住所又は居所
四 願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容
五 願書に添付した要約書に記載した事項
六 外国語書面出願にあつては、外国語書面及び外国語要約書面に記載した事項
七 出願公開の番号及び年月日
八 前各号に掲げるもののほか、必要な事項
3 特許庁長官は、願書に添付した要約書の記載が第三十六条第七項の規定に適合しないときその他必要があると認めるときは、前項第五号の要約書に記載した事項に代えて、自ら作成した事項を特許公報に掲載することができる。
出願公開は特許出願日より1年6ヵ月後(18ヵ月後)にされます。公開特許公報は最新の技術情報ではなく、1年半前に出願された技術情報であることをしっかりと認識する必要があります。出願公開される内容は64条2項に書いてある項目です。
※なお特許出願後に出願人から審査請求がなされ、審査官による審査の後に登録となった場合、登録特許公報が発行されます(特許法第六十六条)。
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+ 公開特許公報のフロントページ
特許出願された日から18ヵ月後に公開特許公報が発行されます。数ページのものから長いものでは100ページを超えるものもあります。その公開特許公報の1ページ目をフロントページと呼びます。以下の図は実際の公開特許公報のフロントページです(特開2000-123456)。
図 特許公報フロントページ
横ラインで4つの領域に区切られています。
一番上の領域には、
- (11) 特許出願公開番号
- (43) 公開日
- (12) 公開特許公報
- (19) 日本国特許庁 (JP)
の4つが書いてあります。ここで(11)、(43)、(12)、(19)など( )で括られた数字に気付くと思います。これはINIDコードと呼ばれるものです(INID : Internationally Agreed Numbers for the Identification of Bibliographic Data)。出願番号、出願日、公開番号、公開日、出願人名、発明者といった書誌的事項(Bibliographic Data)を識別するために付与されています。
※例えばドイツ語の特許公報を見る場合、ドイツ語を全く知らないと出願番号や出願日がどこに書いてあるかすら分かりません。しかしINIDコードで公開日が(43)であることを覚えておけば、(43)を探すことで公開日を知ることができます。
上から2つ目の領域には、
が書いてあります。Int.Cl7は国際特許分類第7版であることを示してあります。上付き文字の7は版数です。
INIDコードは付与されていませんが、FI(File Index : 国際特許分類IPCベースの日本独自分類)やタームコード(Fターム : ファイル・フォーミング・タームのことで、FIとは異なった観点で付与されている日本独自分類)が書かれています。
上から3つ目の領域の左側には、
が書いてあります。
上から3つ目の領域の右側には、
- (71) 出願人名
- (72) 発明者名
- (74) 代理人名
- Fターム(参考)
が書いてあります。代理人名は弁理士の名前になります。あと上から2つ目の領域でテーマコード(参考)で書いてあったFタームの詳細が書かれています。
※出願人名や発明者名、代理人名が書かれている上から3つ目の右側の領域に全て収まりきらない場合は最終ページに記載されます。例えば発明者が10名もいるような場合は、フロントページには収まりきらなかった発明者が最終ページに記載されます。
4つ目の領域には、
が書いてあります。要約はたいていの場合は【課題】と【解決手段】から成り立っています。2ページ目以降を読まずに、要約と代表図面だけでも発明の内容を把握できる場合もあります。
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+ 特許公報の構成と内容の把握
特許公報が発行されるまで、公開特許公報のフロントページと説明してきて、本題の特許公報の構成について説明します。
以下の図に特許公報の構成を模式図的に示します。特許公報は上で説明したフロントページに書誌的事項や要約が書いてあり、2ページ目以降に【特許請求の範囲】(クレーム)や【発明の詳細な説明】、【図面】が掲載されています。
図 特許公報の構成
特許公報の構成を把握する際、
発明とは何らかの課題を解決するためのもの
であると認識することが最も重要です。つまり、
何か困ったことがあって、それを解決するために発明しました
ということです。
上記の重要なポイントを踏まえて特許公報の内容(=発明の内容)を把握する読み方に入ります。
まず【要約】や【発明の属する技術分野】で、技術の概要を把握します。
次に【発明の詳細な説明】の中に書いてある【発明が解決すべき課題】を読んで、どういう課題があるのか(つまりどういうことで困っているのか)把握します。
この課題に対して、解決手段を述べているのが【発明の詳細な説明】の中に書いてある【課題を解決するための手段】になります。この【課題を解決するための手段】を技術的思想として抽象的にまとめたものが【特許請求の範囲】になります(※実はこの【課題を解決するための手段】に書かれている内容は【特許請求の範囲】とほぼ同じで抽象的な表現であることが多い)。
【課題を解決するための手段】を具体的に説明しているのが【発明を実施するための最良の形態】、【実施例】になります。特許法36条4項1号で定義されているように【発明の詳細な説明】はその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(=当業者と言います)がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること、が求められています。
[特許法第三十六条]
4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。
抽象的な表現の【特許請求の範囲】と具体的な表現の【実施例】のいずれかで解決手段について理解をすれば、特許公報の内容(=発明の内容)を理解することが出来ます。
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+ 特許公報の読み方
今まで説明してきたのは一般的な特許公報の読み方で、特許公報1件1件の中身を把握・理解するための読み方です。どちらかと言えば技術者・開発者向けの特許公報の読み方つまり、特許の技術的内容を理解する読み方と言えるかと思います。
特許公報の読み方には大きく分けると2種類あります。
これは特許情報が技術情報であると同時に、権利情報でもあるという2面性を持った情報の性質にも寄ります。
技術情報的な読み方は、これまで説明してきたような読み方で対応できます。
しかし権利情報的な読み方では、主に【特許請求の範囲】に記載された発明の技術的範囲を特定する必要がありますので、注意深く読んでいく必要があります。特に読み方として重要なのは上位概念、下位概念を意識しながら読んでいくことです。
[特許法第七十条 (特許発明の技術的範囲)]
特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。
2 前項の場合においては、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。
3 前二項の場合においては、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない。
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